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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科37巻4号

1983年04月発行

文献概要

特集 第36回日本臨床眼科学会講演集 (その4) 特別講演

小児眼科:先天白内障を中心として

著者: 植村恭夫1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部眼科

ページ範囲:P.431 - P.446

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 先天白内障は視性刺激遮断として発達期の視覚系に影響を及ぼし,片眼先天白内障ではform vision deprivation amblyopiaを,両眼先天白内障ではsensory defect typenystagmusをもたらす。視性刺激遮断の感受性は生後2カ月ごろより急激に増加し,6カ月より24カ月までは強くその後しだいに減少するが,10歳あるいはそれ以上まで感受性はみられる。このことより,片眼先天白内障では生後4週以内に手術を行い,可及的早期(4日以内)にコンタクトレンズによる無水晶体眼の矯正,健眼遮閉を施行する。両眼先天白内障では8週以前に手術を施行し,左右眼の手術間隔はできるだけ短くし(3日以内),可及的早期(5日以内)にコンタクトレンズによる無水晶体眼の矯正を施行し,眼鏡装用ができるようになれば,できるだけ早く眼鏡装用にきりかえる。今回の研究においてこのような治療の中での最も難問は,無水晶体眼の矯正にあることが明らかとなった。
 すべての治療が視性刺激遮断の感受性期に施行される関係上,手術の適応を含め,術後視力の評価,健眼遮閉による遮閉弱視の予防のためには,PL法による視力評価が重要である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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