icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科37巻5号

1983年05月発行

特集 第36回日本臨床眼科学会講演集 (その5)

学会原著

低眼圧緑内障のステロイド反応

著者: 玉田康房1 笹森秀文1 森敏郎1 田沢豊1

所属機関: 1岩手医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.613 - P.617

文献概要

 いわゆる広義の低眼圧緑内障とされている症例の中には健常眼圧を越えた真の低眼圧緑内障と偽緑内障とがある。これらの鑑別を目的として,広義の低眼圧緑内障患者のステロイド反応,視神経乳頭線状出血などを調べた。
 対象は両眼性の緑内障性視神経乳頭とこれに相応する視野障害を有する50名100眼である。視野障害(湖崎)はIIa〜IIIa期が91%を占めた。ステロイド負荷試験では,陽性は36眼でこのうち強陽性は17眼であった。強陽性眼の視神経乳頭の陥凹型は血管の鼻側偏位をもつ陥凹拡大型とnotching形成型が多かった。視神経乳頭出血は全体では30%に,6ヵ月以上経過観察できた症例では37%にみられた。出血とステロイド反応の間に相関関係はなかった。以上から真の低眼圧緑内障と偽緑内障との明確な鑑別は困難であるが,血液循環障害が,前者ではわずかな眼圧上昇と相まって,後者では単独に陥凹形成に関与していると推測された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら