文献詳細
特集 第36回日本臨床眼科学会講演集 (その5)
学会原著
文献概要
いわゆる広義の低眼圧緑内障とされている症例の中には健常眼圧を越えた真の低眼圧緑内障と偽緑内障とがある。これらの鑑別を目的として,広義の低眼圧緑内障患者のステロイド反応,視神経乳頭線状出血などを調べた。
対象は両眼性の緑内障性視神経乳頭とこれに相応する視野障害を有する50名100眼である。視野障害(湖崎)はIIa〜IIIa期が91%を占めた。ステロイド負荷試験では,陽性は36眼でこのうち強陽性は17眼であった。強陽性眼の視神経乳頭の陥凹型は血管の鼻側偏位をもつ陥凹拡大型とnotching形成型が多かった。視神経乳頭出血は全体では30%に,6ヵ月以上経過観察できた症例では37%にみられた。出血とステロイド反応の間に相関関係はなかった。以上から真の低眼圧緑内障と偽緑内障との明確な鑑別は困難であるが,血液循環障害が,前者ではわずかな眼圧上昇と相まって,後者では単独に陥凹形成に関与していると推測された。
対象は両眼性の緑内障性視神経乳頭とこれに相応する視野障害を有する50名100眼である。視野障害(湖崎)はIIa〜IIIa期が91%を占めた。ステロイド負荷試験では,陽性は36眼でこのうち強陽性は17眼であった。強陽性眼の視神経乳頭の陥凹型は血管の鼻側偏位をもつ陥凹拡大型とnotching形成型が多かった。視神経乳頭出血は全体では30%に,6ヵ月以上経過観察できた症例では37%にみられた。出血とステロイド反応の間に相関関係はなかった。以上から真の低眼圧緑内障と偽緑内障との明確な鑑別は困難であるが,血液循環障害が,前者ではわずかな眼圧上昇と相まって,後者では単独に陥凹形成に関与していると推測された。
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