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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科37巻5号

1983年05月発行

文献概要

特集 第36回日本臨床眼科学会講演集 (その5) 学会原著

EMGによる外斜視master eyeの決定

著者: 田村修1 三井幸彦1

所属機関: 1徳島大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.661 - P.664

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 外斜視のmaster eye手術は,手術効果および両眼視能抑制の除去にすぐれている(子供のphoria-tropiaを除く)1,2)。したがって外斜視のmaster eyeを決定し,master eye手術を行うことは重要である。しかし実際には臨床的にmaster eyeを決定することが困難な例がある。両眼視力の良いphoria-tropiaや一見交代性に見える外斜視である。そこで水平4直筋のEMGによりmaster eyeを決定する力法を検討した。その結果,次のような結論を得た。
(1)外斜視のmaster eyeに軽いforced adductionを加えると,一般に反対側の眼のEMGのみに変化がおこる。これはMF現象に相当し,外斜視特有の現象である。
(2)外斜視のrnaster eyeにductionを加えると,時としてversionを示すようなEMG所見がおこる。これはRPRに相当した現象である。
(3)外斜視のslave eyeにductionを加えても,ductionを加えた眼のEMGに変化がおこることはあっても反対側の眼のEMGに変化がおこることはない。これは正常者にも見られるipsilateralなproprioceptive reflexであろう。
 以上のように,外斜視の1眼にductionを加えて,EMGにMF現象またはRPRに相当する変化が認められれば,ductionを加えた眼がmaster eyeである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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