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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科37巻5号

1983年05月発行

文献概要

特集 第36回日本臨床眼科学会講演集 (その5) 学術展示

鈍的眼外傷に続発した開放隅角緑内障の1例—組織学的検討

著者: 大庭省三1 平井健一1 吉岡正樹1 秋山嘉彦1 入江博章1 山田耕士1 後藤保郎1

所属機関: 1兵庫県立尼崎病院眼科

ページ範囲:P.686 - P.687

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 緒言鈍的眼外傷後に続発緑内障をきたす例があることはよく知られているが,組織学的報告は少なく,とくに電子顕微鏡(以下,電顕)的に房水流出路の形態学的変化を検討したものは少ない。今回,受傷後早期より眼圧上昇をきたした1症例を経験したので報告する。
 症例57歳男性。1982年1月24日,右眼球に木片が強くあたった。受傷翌日初診。初診時視力はV.d.=(0.08(v.n.c.), V.s.=0.1(0.8×S−1.0D)。眼圧はSchiötz眼圧計にて両眼とも17mmHg。右眼に角膜上皮剥離,前房内浮遊細胞,中等度散瞳,網膜振盪症を認めた。前房深度は正常で前房出血は認めなかった。受傷後12日目より眼圧上昇を認め,内服・点眼療法にても眼圧調整が困難となった。隅角鏡にて全周に隅角離開,下方の線維柱帯上に色素沈着を認めた。トノグラフィーc値は右=0.04,左=0.23であった。受傷後45日目にTrabeculect—omyおよび虹彩切除を行い,切除標本をグルタールアルデヒド,四酸化オスミウムにて固定し,エポン包埋を行って組織学的に検討した。眼圧は術後半年目の現在,点眼のみでコントロールされている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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