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特集 第36回日本臨床眼科学会講演集 (その6) 学会原著
Trabeculectomy切除部隅角からの前房内血液逆流について
著者: 南波久斌1
所属機関: 1関東労災病院眼科
ページ範囲:P.757 - P.762
文献購入ページに移動 Trabeculectomy切除部後方の強膜を隅角鏡の縁で圧迫し,隅角を4分間観察し,以下の結果を得た。
90眼中22眼で切除部内より血液前房内逆流が事認められた。ろ過胞の存在の場合と同様,血液逆流が出現した群では,眼圧コントロールが有意に良好であった。特に,ろ過胞非形成眼において,血液逆流(+)眼は逆流(—)眼に比べ有意にコントロール率が高く,かつ,outflow facilityも高かった。以上の成績から,Trabeculectomyによって,房水はろ過胞からのみならず,血管からも排出され,後者の流出路は眼圧調整メカニズムに重要な役割を持つと考えられた。術後経過期間と逆流頻度との間には,はっきりした相関はみられなかった。切除部内の血液逆流部位は,主としてSchlemm管切断端やその極めて近くに分布するcollector channelと推定された。
90眼中22眼で切除部内より血液前房内逆流が事認められた。ろ過胞の存在の場合と同様,血液逆流が出現した群では,眼圧コントロールが有意に良好であった。特に,ろ過胞非形成眼において,血液逆流(+)眼は逆流(—)眼に比べ有意にコントロール率が高く,かつ,outflow facilityも高かった。以上の成績から,Trabeculectomyによって,房水はろ過胞からのみならず,血管からも排出され,後者の流出路は眼圧調整メカニズムに重要な役割を持つと考えられた。術後経過期間と逆流頻度との間には,はっきりした相関はみられなかった。切除部内の血液逆流部位は,主としてSchlemm管切断端やその極めて近くに分布するcollector channelと推定された。
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