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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科37巻6号

1983年06月発行

文献概要

特集 第36回日本臨床眼科学会講演集 (その6) 学会原著

若年性網膜剥離と家族性滲出性網膜硝子体症(familial exudative vitreoretinopathy)

著者: 橋本和彦1 宮久保寛1 猪原貴子1 多田博行1

所属機関: 1群馬大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.797 - P.803

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 家族性滲出性網膜硝子体症(famillial exudative vitreoretinopathy FEVRと略称)に合併する網膜剥離の病態を明らかにするために,自験例86例について網膜剥離の臨床像を検索した。さらに網膜剥離全体の中で原因疾患としての本症の位置づけを試みた。
 網膜剥離を合併したFEVRは86例中42例で15例20眼は牽引性,27例35眼は裂孔原性剥離であった。牽引性剥離の発症年齢は低く,10歳以下が60%を占めたが,裂孔原性では10歳から29歳の範囲での発症が多かった(66%)。網膜裂孔は耳側に好発し,この発症には一般の裂孔原性剥離とは異なり,FEVRの特徴のひとつであるV字形変性および耳側の網膜硝子体癒着の関与が推測された。
 過去54カ月の期間の一般の裂孔原性剥離576眼の中で,FEVRが素因として関与する症例は4.8%を占め,30歳未満の若年性網膜剥離に限ると12%にFEVRの関与があった。
 以上FEVRの網膜剥離は若年者に好発し,若年性綱膜剥離の発症要因として高い頻度をしめる重要な疾患であることが示された。このことはFEVRが若年性剥離の主たる要因として注目されるべき重要な疾患であり,FEVRが稀な疾患ではないことを示すものである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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