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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科37巻6号

1983年06月発行

文献概要

特集 第36回日本臨床眼科学会講演集 (その6) 学会展示

硝子体動脈遺残症における蛍光眼底所見および飛蚊症について

著者: 中山義章1 松本和子1 本田宗治1 宮里和明1

所属機関: 1日本医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.838 - P.839

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 緒言硝子体動脈1,2)は胎生第6週頃に形成され,第9週頃最も発達する。その後次第に吸収され,第16週に硝子体動脈分枝が消失し,9ヵ月頃に本幹が消失する。未熟児では時に見られるが,成人では少なく,なかでも完全型硝子体動脈遺残症は稀である。今回我々は完全型1例を含む3症例4眼について,その形状,螢光血管撮影所見,飛蚊症の出現消退につき経過観察を行ったので報告する。
 症例症例1:63歳,女。右眼の飛蚊症を受診の3日前に自覚して来院する。右眼は硝子体中を浮遊する硝子体動脈遺残があり,本幹の中央部付近に2本の分枝遺残と思われる紐状物が付随している(図1)。本幹内は赤色で,血液が充盈しているものと思われる(図2)。水晶体側断端付近でわずかに膨らみ,先端は平坦で縁に四つの突起状物がみられる(図3)。水晶体後嚢にはなんら異常なく,他の網脈絡膜に異常を認めない。左眼は乳頭面より水晶体後嚢に達する完全型硝子体動脈遺残で,中間部の血管は鞭状に動揺する。遺残血管は乳白色で,水晶体後嚢の後極よりやや鼻側下方に付着している。付着端の横方向に短い二つの突起物がみられるが,他の部位には異常を認めない。飛蚊症の自覚はない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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