icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科37巻6号

1983年06月発行

文献概要

臨床報告

悪性高血圧症にみられた脈絡膜血行遅延と漿液性網膜神経上皮剥離

著者: 木村早百合1 竹田宗泰1

所属機関: 1札幌医科大眼科学教室

ページ範囲:P.861 - P.867

文献購入ページに移動
 急な視力低下のために来科し両眼性に強渡の高血圧性網膜血管変化(Keith—Wagener IV期)と多発性の漿液性網膜神経上皮剥離を伴う54歳男性で,後に内科で悪性高血圧症と診断された1例を報告した。螢光眼底所見上両眼共に後極に網膜静脈相後期まで持続する境界鮮明な斑紋状の脈絡膜螢光の著しい流入遅延部がみられ,これに接して多発性の脈絡膜から網膜下への螢光漏出および貯溜を認めた。
 従来螢光眼底造影法においてこれほど明確に脈絡膜循環障害をとらえた報告は少なく,高血圧症が網膜循環系のみならず脈絡膜循環系にも血行障害をおこしうることを臨床的に示しており脈絡膜循環障害による漿液性網膜神経上皮剥離発生の重要性について考察した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?