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連載 眼科図譜・308
角膜腫瘍を伴った色素性乾皮症
著者: 宮川淑子1 谷島輝雄2
所属機関: 1東京織物健康保険組合診療所 2東京大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.882 - P.883
文献購入ページに移動症例は24歳男性。両親はいとこ婚で兄も本症と診断されている。幼時より露出部皮膚にそばかす様色素斑や腫瘤の形成があり色素性乾皮症と診断されていたが,今回東大病院皮膚科にて左鼻翼部腫瘤(図1)の切除を受け基底細胞腫(basal-cell epithelioma)と診断された(図2)。左眼角膜の白い膜様物を主訴として眼科を受診した。視力は右矯正1.0,左矯正0.2で中間透光体および眼底には異常がなかったが前眼部では両眼ともに下眼瞼の外反,瞼縁糜燗,睫底脱落と結膜充血が認められた。角膜は右限にも翼状片様の組織がみられたが左眼角膜は細い血管を伴う表面不整の組織で広い範囲が覆われていた(図3)。この左眼に対し表層角膜移植を行った。切除した角膜の組織所見では上皮層が肥厚し異型性の強い細胞が多くみられボーマン膜の一部が途切れてこれらの細胞が角膜実質内に浸潤しているのが認められた(図4,5)。異型性の強い細胞は角膜とともに切除した輪部沿の結膜にも認められた。
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