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臨床報告
脈絡膜循環障害の疑われた地図状脈絡膜症
著者: 木村早百合1 竹田宗泰1
所属機関: 1札幌医科大学眼科学教室
ページ範囲:P.1001 - P.1007
文献購入ページに移動34歳健康な男性の眼底に前部後部ぶどう膜炎,視神経乳頭炎,網膜静脈炎,漿液性網膜神経上皮剥離がみられ網膜下の灰白色混濁病変を伴っていた。大量ステロイド療法を行い,ぶどう膜炎は約4週で消失したが,網膜下病変は約6週かかって特異な地図状の網膜色素上皮層および脈絡膜毛細血管萎縮巣を残し,ぶどう膜炎が消褪後も次々と新病巣をつくり進行していった。急性期網膜下病変は螢光初期には低螢光で示され螢光後期には過螢光となったがこのとき初期の低螢光領域内に中等大以上の脈絡膜血管を透見していた。急性期網膜下病変における螢光初期の低螢光は網膜色素上皮の浮腫混濁による螢光遮断ではなく何らかの炎症機転による脈絡膜の毛細血管や前毛細血管細動脈の循環不全である可能性を示唆し,病態の主座はこれら脈絡膜血管系にあると考えられた。しかし治療で投与されたステロイドホルモンの効果は明らかではなかった。
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