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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科37巻8号

1983年08月発行

文献概要

特集 第37回日本臨床眼科学会講演集 (その8) 学会原著

春季カタルの涙液IgE

著者: 中川やよい1 多田玲2 山本保範2 若野育子3 湯浅武之助4

所属機関: 1大阪逓信病院 2大阪府立羽曳野病院 3大阪府立病院 4大阪大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1069 - P.1072

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 春季カタル患者の涙液IgEは,その増悪期には高値を示すことが明らかにされているが,同様の重症度を示す患者間にもかなりの涙液IgE 値の相違がみとめられる。このような現象を説明するために同一患者の涙液を希釈法により反復採取し,涙液IgE量の推移をみることにより,結膜におけるIgE産生の実態を把握しようと試みた。また血清と涙液でIgEとalbuminを同時に測定することにより,涙液IgEの由来すなわら局所産生によるものと炎症による血管外漏出によるものとの比率を検討した。IgEはPRIST法,albuminはsingle radial immunodiffusion法によって測定した。
 その結果,同一例においては角膜症状の消長と涙液IgEの増減はよく一致していた。また輪部型のような春季カタルでも軽症例に属するものでは,涙液IgE 値は他の型と比較して低値であった。さらに結膜アレルギー患者10例中8例で,結膜局所でのIgE産生をみとめたが,涙液IgEの局所産生と血管外漏出によるものの比率は症例により非常に差異が大きいことが明らかになった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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