特集 第37回日本臨床眼科学会講演集 (その8)
学会原著
飛蚊症の臨床的研究
著者:
荻野誠周1
山岸和矢1
山川良治1
所属機関:
1天理よろづ相談所病院眼科
ページ範囲:P.1089 - P.1093
文献購入ページに移動
飛蚊症を主訴とする285例367眼の飛蚊症の原因は全て硝子体混濁であったが,加齢による硝子体変性が351眼とほとんどを占め,うち320眼に後部硝子体分離が存在した。乳頭前環がもっとも飛蚊症の原因となりやすく,線維性混濁,硝子体細胞,赤血球,剥離網膜前線維膜や黄斑前環が原因となっていた。後部硝子体分離を伴う飛蚊症の発症年齢は60歳代前半にピークを示したが,男性と中等度以上の近視は明らかに早発化因子であり,後者では好発年齢が約15年若かった。後部硝子体分離を伴う320眼(男性71眼,女性249眼)の合併症として,類嚢胞黄斑変性22眼6.9%,網膜前線維膜97眼30.3%,牽引性網膜裂孔20眼6.3%,硝子体網膜出血28眼8.8%,光視症48眼(lightening streak 41眼,後部硝子体剥離時閃光7眼)15.0%および格子状変性24眼7.5%がみられた。類嚢胞黄斑変性は女性に著しく好発(女性は20眼8.0%,男性は2眼2.8%)し,牽引性網膜裂孔は男性に好発(男性は11眼15.5%女性は9眼3.6%)した。硝子体網膜出血はその10眼35.9%に牽引性網膜裂孔を合併していた。