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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科37巻8号

1983年08月発行

文献概要

臨床報告

糖尿病性網膜症とヘモグロビンA1との関係—その推移と変動について

著者: 半田幸子1 高橋祥子1

所属機関: 1相模大野診療所眼科

ページ範囲:P.1191 - P.1195

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 糖尿病者135名のヘモグロビンA1,(HbA1)の変動と糖尿病性網膜症の推移との関連について検討し次の結果を得た。
(1)6ヵ月以上の経過を観察しえた非網膜症者と網膜症者間でのHb A1の個体内変動はp<0.01で後者が大きく,Hb A1の平均値は前者7.56±1.09%,後者9.51±1.34%で後者のHbA1は前者のそれに比べて高く(p<0.01),その変動の位置も有意に高かった。
(2)光凝固未施行の網膜症で観察期間内での網膜症に改善のみられる者および不変の者と,その所見に悪化の傾向がある者とに二分し,両群間のHbA1の個体内変動を求めると,p<0.05で後者が大きく,またその平均値は前者8. 69.±1.29%,後者10.13±1.75%で後若のHbA1は前者に比べて高く(p<0.05),その変動7)位置は有意に高い値であった。
(3)光凝固施行後の網膜症について.施行前後の網膜症の推移を改善,不変,悪化と区別し,各々のグループ間でHb A1の個体内変動と平均値の差を比べてみたが有意差はなかった。
 これらの結果から,糖尿病性網膜症の発生,進展を阻止するためにはその発生因子の一つであるHb A1の適正化に努める事が重要であるが光凝固施行後の網膜症ではその推移とHb A1との関係は明らかでないものがあると結論できる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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