薬の臨床
Sisomicin点眼液の細菌性外眼部感染症に対する有効性・有用性の二重盲検法による研究
著者:
岡村良一
,
鎌田龍二
,
松本光希
,
小林俊策
,
浅山琢也
,
兼子勉
,
筒井純
,
市橋進
,
武田純爾
,
原二郎
,
田中康夫
,
塩田洋
,
井上須美子
,
小川剛史
,
市川宏
,
村上正建
,
田中直彦
,
秦野寛
,
石川哲
,
宮田幹夫
,
内田幸男
,
金子行子
,
大西裕子
,
北野周作
,
山西政昭
,
吉沢徹
,
徳田久弥
,
清水干尋
,
有本啓三
,
嶋田孝吉
,
沢充
,
大石正夫
,
永井重夫
,
田沢豊
,
近藤駿
,
熊谷俊一
,
松田英彦
,
根路銘恵二
,
宮島輝英
,
三井幸彦
,
小寺健一
,
東堤稔
,
坂本雅子
,
三浦創
ページ範囲:P.1269 - P.1282
市販の0.3%ゲンタマイシン点眼液(GM)を対照として,0.3%シソマイシン点眼液(SISO)の有効性,安全性および有用性を,多施設二重盲検法によって比較研究した。
細菌性外眼部感染症348例に1日4回,1回2滴点眼することを原則として使用した。除外例,脱落例を除き,SISO群128例,GM群137例が解析対象例となった。両群の背景因子の同質性保証をたしかめた後,両群の臨床効果,安全性および有用性を眼感染症研究会制定の判定基準によって比較して,つぎの結果が得られた。
(1) SISOは著効率64.84%,有効率96,88%,GMは著効率59,85%,有効率92.70%で,臨床効果に差はなく,眼感染症研究会制定の評価基準では,共に汎用性抗生物質点眼液として優にランクされた。しかしSISOの方がGMより多少「切れ味」がよいのではないかという可能性が示唆された。
(2)副作用の発現率は両薬剤間に推計学的に有意差はなく,また重篤な副作用も発生しなかった。しかし眼感染症研究会の評価基準を適用すると,従来GMの欠点とされていた刺激性が,SISOでは使用者がその差に気づく位軽微である可能性が推定された。
(3)特定疾患はSISOは前回の二重盲検法を含め19例,GMは31例あり,共に著効率50%以上,有効率95%以上であって,全症例の結果と矛盾しなかった。