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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科37巻9号

1983年09月発行

文献概要

臨床報告

前房内増殖型網膜芽細胞腫の1例

著者: 滝昌弘1 馬嶋昭生1 塩瀬芳彦2

所属機関: 1名古屋市立大学医学部眼科学教室 2愛知県総合保健センター視力診断部

ページ範囲:P.1247 - P.1250

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 12歳の女性に発生した前房内増殖を伴う網膜芽細胞腫の1例を報告した。患者は右眼下方視時の霧視を主訴として来院し,右眼前房内の白色綿花状塊状物と微細な浮遊物,硝子体下方の混濁,下方網膜血管の怒張および鋸状縁付近の白色腫瘤が認められた。視力は両眼ともに1.2(矯正不能)で右眼圧は38mmHgであった。前房水の細胞診で悪性腫瘍細胞が検出され,網膜芽細胞腫と診断され,眼球摘出術が行われた。病理組織学的にはロゼット形成の多い分化型の網膜芽細胞腫で,前房内の塊状物も腫瘍細胞から形成されており,瞳孔を経て前房内に腫瘍が増殖したものと考えられた。眼球摘出後20カ月経過したが再発,転移は認められていない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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