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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科37巻9号

1983年09月発行

文献概要

臨床報告 カラー臨床報告

高度の網膜血管炎を呈した全身性エリテマトーデスの1例

著者: 児玉保子1 古賀敏朗2 中尾多香昭2 宮本祐一3

所属機関: 1佐賀県立病院好生館眼科 2佐賀県立病院好生館内科 3佐賀県立病院好生館病理

ページ範囲:P.1259 - P.1267

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 両眼の激しい網膜血管炎を呈し,高度の網膜血管閉塞をきたした全身性エリテマトーデス(SLE)の1例(38歳男性)を報告した。
 初診時,軽度のぶどう膜炎を伴い,両眼底には著明な網膜静脈周囲炎が認められたが,3日後には静脈閉塞症様の強い網膜出血をきたし,同時に網膜剥離を併発した。網膜動脈周囲炎も数日遅れて明らかとなった。
 ステロイド大量投与により,眼底の著しい滲出性病変および多彩な全身症状は速やかな改善を示し,血管炎も鎮静化したが,罹患網膜動静脈の多くは高度の閉塞を残した。
 全身的にも皮膚,筋,腎の各生検で壊死性血管炎が認められた。本症例の病初期の眼底像は実験的アレルギー性網膜血管炎に類似しており,両限の著明な綱膜血管炎の発症には,SLEに基づいた免疫学的機序の関与が推察された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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