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Stickler症候群(hereditary progressive arthro-ophthalmopathy)の眼病変
著者: 宮久保純子1 宮久保寛1 橋本和彦1 猪原貴子1 多田博行1
所属機関: 1群馬大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.35 - P.47
文献購入ページに移動自験例では口蓋裂,骨端形成不全,難聴などの全身合併症が28例中15例にあり,近視,硝子体の強い液化,網膜前膜,脈絡膜萎縮,傍血管性網脈絡膜萎縮,網膜剥離等があった。これらより,自験例はStickler症候群と診断された。自験例でほぼ全例に認められた特徴的眼所見は,高度の硝子体液化に加え,Cloquet腔の境界膜に相当する硝子体皺襞膜が水晶体後方に明瞭に観察され,眼底後極部に脈絡膜萎縮の所見があったことである。脈絡膜萎縮は,高度の例で脈絡毛細管板が消失していることが螢光眼底造影により確認され,原発性の脈絡膜萎縮と推定された。従来特徴とされた傍血管性網脈絡膜萎縮は,頻度が少ないことなどから,本症の基本的眼病変としては考えにくい。
以上のことからStickler症候群の基本的眼病変は特異な硝子体液化と脈絡膜萎縮であり,両者を合せ持つものは他の網膜硝子体変性症にはなく,本症の診断基準として重視すべきである。本症はMarfan症候群と同じ,もしくはそれ以上の頻度で存在し網膜剥離を生じやすいことから,今後注目すべき疾患である。
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