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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科38巻10号

1984年10月発行

文献概要

臨床報告

糖尿病性網膜症の毛細血管閉塞域における血液循環の改善—光凝固後の長期観察

著者: 岡田むね子1 田村正2

所属機関: 1杏林大学 2国立病院医療センター

ページ範囲:P.1017 - P.1020

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 増殖型糖尿病性網膜症患者6名(7眼)に光凝固治療を行い,網膜毛細血管網の流通状態を長期にわたり観察した。光凝固は,眼底後極部から赤道部網膜にかけて,黄斑部をのぞいて広範囲に施行した。7眼はいずれも前回の報告1)で,光凝固治療前の毛細血管閉塞域の一部分に,治療後,血管網が再造影され,網膜症の改善をみた症例である。7眼中6眼においては,その後の観察期間中にも再造影される血管網の範囲はさらに拡大し,検眼鏡下の網膜病変もさらに改善した。またそれらの部分から網膜前新生血管の発生はみられなかった。7眼中1眼のみにおいては,一度再造影された血管網が再び消失し,検眼鏡および螢光眼底造影所見上,網膜症の悪化をみた。これらのことから,再造影された血管網は網膜症の軽快に役立ち,光凝固治療は,何らかの意味で網膜のhemodynamicsを改善すると考察した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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