icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科38巻11号

1984年11月発行

文献概要

特集 第7回日本眼科手術学会 原著

人工水晶体手術の検討—第1報大学における人工レンズのあり方と手術教育の試み

著者: 藤関能婦子1 川勝朝代1 稲富昭太1

所属機関: 1滋賀医大眼科学教室

ページ範囲:P.1121 - P.1124

文献購入ページに移動
(1)眼内人工レンズの需要の増大に伴い,眼科専門医が基本的手技として修得するために,大学における卒業教育のカリキュラムの中にルーチンとしてその手術をとり入れ教育を試みた。
(2)移植された人工水晶体の種類は,前房レンズで,計画的嚢外摘出術にひき続き一次移植で行った。前房レンズでとりあげられてきたかっての合併症の問題の見直しも含め検討した。
(3)対象は60歳以上の老人性白内障で,片眼の手術適応例31人31眼であった。
(4)術後視力の改善は全例術後0.5以上の矯正視力を得た。
(5)術中合併症はiris tuck 5,浅前房4,前房出血2,デスメ膜剥離1であった。
(6)術後合併症は,瞳孔異常4,レンズの回転3,眼圧上昇(一過性)2,虹彩炎2,嚢胞状黄斑浮腫1であった。しかし,いずれも臨床上重大な問題となるものではなかった。
(7)角膜内皮のcell lossは,平均18.4%であった。
 以上の結果から,教育の場においても,人工水晶体手術を計画的に行えば,安定した成績が得られ,シムコタイプの前房レンズは,手術手技が容易であり,重篤な併発症が少なく,我々の意図を満足するものであった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?