文献詳細
--------------------
文献概要
◎特別講演
1)手術と眼組織反応
手術は人体に外傷を加えながら,治療目的を達しようとする行為であり,それによって受ける傷害にくらべ,利益の大きい時に,その手術の適応があると判定される。なかでも眼組織は繊細で,形態的なわずかな乱れも大きな損傷となるため,その損傷は最小限にくいとめるべきで,顕微鏡下手術もこのために開発された。手術による損傷を抑えるためには,手技の合理化,器具の精密化のほか,手術によってひき起こされる生物反応を知る必要がある。この研究を手術のbiology (病態生理学)と呼ぶが,その研究発展のためには,術中,術後の組織反応をprospectiveに観察する必要がある。その手段として,角膜の透過性と厚さ測定,角膜内皮観察,眼内螢光測定などが現在あり,プロスタグランジン,ブラジキニンなどの放出による反応や,灌流液中のCa添加,インドメサジンの点眼などによる傷害予防効果などが,角膜,前房,虹彩,網膜(とりわけCMEの発生)に対して考慮されねばならず,今後は手術時の光による傷害も無視できないから,手術用顕微鏡の内部照明をズーム化するなどの配慮も必要となる。
1)手術と眼組織反応
手術は人体に外傷を加えながら,治療目的を達しようとする行為であり,それによって受ける傷害にくらべ,利益の大きい時に,その手術の適応があると判定される。なかでも眼組織は繊細で,形態的なわずかな乱れも大きな損傷となるため,その損傷は最小限にくいとめるべきで,顕微鏡下手術もこのために開発された。手術による損傷を抑えるためには,手技の合理化,器具の精密化のほか,手術によってひき起こされる生物反応を知る必要がある。この研究を手術のbiology (病態生理学)と呼ぶが,その研究発展のためには,術中,術後の組織反応をprospectiveに観察する必要がある。その手段として,角膜の透過性と厚さ測定,角膜内皮観察,眼内螢光測定などが現在あり,プロスタグランジン,ブラジキニンなどの放出による反応や,灌流液中のCa添加,インドメサジンの点眼などによる傷害予防効果などが,角膜,前房,虹彩,網膜(とりわけCMEの発生)に対して考慮されねばならず,今後は手術時の光による傷害も無視できないから,手術用顕微鏡の内部照明をズーム化するなどの配慮も必要となる。
掲載誌情報