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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科38巻12号

1984年12月発行

文献概要

臨床報告

開瞼失行の追加13症例—その診断と治療の試み

著者: 本田孔士1 直井信久1 吉村長久1

所属機関: 1京都大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1253 - P.1257

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 開瞼失行の13症例を,前報の5症例に追加して報告した。世界的にも,これまでこれだけ多数例を扱った報告はなく,本症のいくつかの特色を統計的に示すことができた。発症は28歳から80歳にわたっていたが,一般に高齢者に多い。男女差はなく,6例(33.3%)が瞬目過多の病期を経て発症した。眼瞼痙攣から移行したものが2例(11.1%)あった。また,パーキンソン症状を合併したものが2例あり,本症の筋アキネジアとの関連を示唆した。9例に行ったCTで前頭葉萎縮を認めたものは2例であったが,びまん性萎縮を含めると7/9例(77.8%)に異常を認めた。記銘力低下2例も本症の前頭葉との関連を示唆していた。治療薬として用いたマイナートランキライザー(各種),L-DOPA (抗パーキンソン剤),Ca-hopantenatc (HOPA)の有効な症例があったが,薬効の数量内な判定は不可能であった。眼瞼下唾手術を行った2例中2例とも患者の愁訴が軽快した。ただし,開瞼開始困難が軽快することはなかった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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