特集 第37回日本臨床眼科学会講演集 (その1)
学会原著
前房レンズループの固定状態
著者:
三宅謙作1
三宅武子1
小林弘子1
所属機関:
1眼科三宅病院
ページ範囲:P.137 - P.139
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術後6ヵ月以上(平均9.9ヵ月)経過した各種前房レンズ挿入眼のレンズloopの固定状況を,隅角鏡検査および螢光隅角鏡検査にて検討した。28症例(56 loop)中,48loop (86%)は強膜岬から虹彩根部の間にIoopは固定されており,8 loop (14%)は周辺虹彩で固定されいわゆるiris tuckをおこしていた。iris tuckはヘスバーグ型の前房レンズにおいてより高頻度にみられた。この他の隅角鏡異常所見としては,隅角色素沈着40loop (71%),固定部付近の虹彩の萎縮10 loop (18%)がみられた。螢光隅角造影法においては,毛様体バンドからのびまん性の螢光色素の漏出が,7 loop (12%)で,血管拡張が4 loop (7%)でみられた。また,周辺虹彩血管の透過亢進が4 loop (7%)でみられた。上記結果は,これら前房レンズの支持要素として毛様体,虹彩の一部が関与しており,loopによりこれら組織が機械的刺激を受けることが示唆された。