icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科38巻2号

1984年02月発行

文献概要

特集 第37回日本臨床眼科学会講演集 (その1) 学会原著

網膜芽細胞腫のglial fibrillary acidic (GFA) protein

著者: 大平明弘1 大島健司1 菊池昌弘2 猪俣孟3 大西克尚3

所属機関: 1福岡大学医学部眼科学教室 2福岡大学医学部病理学第一教室 3九州大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.155 - P.160

文献購入ページに移動
 PAP法による,網膜芽細胞腫30例30眼におけるGFA蛋白の局在を調べることにより,本腫瘍の発生起源について,免疫組織化学的な観点から検討を行った。
 GFA蛋白陽性所見は,腫瘍組織内の血管周囲や本来の網膜が巻き込まれたもの,ロゼット形成のない未分化型腫瘍細胞の一部に認められた。これらの所見は30例巾26例に見られ,その由来はreactive astrocyteと考えられた。
 Homer-Wright型とFlexner-Wintersteiner型ロゼットの一部にGFA蛋白陽性所見を認めた。またmitosis像にも陽性所見が見られた。このことから本腫瘍の発生の一部にグリア細胞の関与が明らかとなった。この陽性細胞はグリア細胞への分化が決定された細胞と考えられた。
 本腫瘍のロゼット形成は視細胞への特殊分化としてとらえるよりも,ロゼット形成の見られる脳腫瘍と同様に,神経管の再現と考えやすい。
 したがって本腫瘍はグリアならびに神経系細胞へのbipotentialityを有する細胞に由来するものと考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?