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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科38巻3号

1984年03月発行

文献概要

特集 第37回日本臨床眼科学会講演集 (その2) 学会原著

汎網膜光凝固の血液網膜柵に及ぼす影響

著者: 大西直人1 羽生田俊1 大川雅史1 村岡兼光1 米谷新1

所属機関: 1群馬大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.281 - P.285

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 汎網膜光凝固(PRP)が,血液網膜柵に及ぼす影響についてvitreous fluoro—photometcrを用いて検索した。対象はPRPの適応となる糖尿病性網膜症13例21眼で,光凝固前とPRP完了後1週間目に硝子体螢光を測定した。測定には10%フルオレセインーNaを体重kg当り7mg静注し,1時間後の硝子体中への螢光漏出を定量した。健常人12例15眼をコントロールとした。
 光凝固前の糖尿病群は,コントロールに比し有意に高い硝子体螢光漏出が観察され,血液網膜柵に障害のあることが確かめられた。
 単純型網膜症と増殖型網膜症の比較では,統計学的には有意差はなかった。
 光凝固直後を測定しえた糖尿病性網膜症3眼の螢光濃度は,いずれも凝固前より一過性に上昇したが,PRP後1週を経過した糖尿病群の硝子体螢光濃度は,凝固前の測定結果と有意の差がなくなり,治療量での光凝固による網膜色素上皮の破壊の結果生じる血液網膜柵の損傷は,少なくとも硝子体螢光でみるかぎりでは,硝子体に影響を与えないことが結論され,併せてPRPが糖尿病性網膜症の治療として安全であることが推定された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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