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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科38巻5号

1984年05月発行

文献概要

特集 第37回日本臨床眼科学会講演集 (その4) 学会原著

斜視外来における改良型Fundus Haploscopeの有用性について

著者: 新井真理1 可児一孝1 稲富昭太2

所属機関: 1滋賀医科大学眼科学教室 2兵庫医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.531 - P.534

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 Fundus Haploscopeは大型弱視鏡の機能を備え,内蔵された赤外線カメラにより眼底を同時に観察できる器械であり,その特徴は眼底と視標との位置関係が明確にできる点にある。しかしこの器械は大型であり,日常の臨床には使用しにくい欠点がいくつかあったので,臨床での使用を目的としてFundus Haploscopeの改良を行った。1)上下斜視に対処するため,鏡筒の上下への傾き,すなわちあおりができるようにした。2)スライドの上下左右への移動や回旋を,手動から電動にきりかえた。3) TVの画像を水平方向40°垂直方向30°と広くし,眼底の位置関係をわかりやすくした。4)ピント調節により眼底や視標の大きさが変化しないようにした。
 このような改良により,以前よりも簡単に操作できるようになったので本器械を大型弱視鏡と同様に斜視外来で使用し,その有用性を1)検査可能年齢,2)網膜対応異常症例について検討した。その結果,3,4歳では検査可能な症例は.大型弱視鏡とくらべると少ないが,5歳以上では90%以上の症例に対し使用可能であった。また網膜対応の異常な症例は全体の17%にみられ,そのうち融像まで得られた症例は,すべて微小角斜視であることが確認された。
 Fundus Haploscopeは改良により操作しやすくなり,研究面のみでなく,日々の診療に十分使用可能となった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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