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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科38巻6号

1984年06月発行

文献概要

特集 第37回日本臨床眼科学会講演集 (その5) 学会原著

まわし眼位に関する研究—第4報まわし斜視のsensory adaptationについて

著者: 高橋総子1

所属機関: 1滋賀医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.591 - P.595

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 Fundus Haploscopeを用い,両眼視機能を有する上下斜視38例のまわし眼位を他覚的および自覚的に測定し,他覚的まわし眼位が正常者の平均値±2S.D.の範囲外の症例23例をまわし斜視としてとり出した。このまわし斜視の他覚的まわしずれと自覚的まわしずれを比較することによって,まわしずれに対するscnsory adaptationについて検討した。また,まわし斜視を先天性または乳幼児期発症のものと,小児期以降発症のものにわけ,まわし斜視の発症年齢との関係についても調べた。
 乳幼児期以前に発症したまわし斜視14例においては,2例に大きな自覚的まわしずれを認めたのが注目されたが,ほとんどの症例では自覚的まわしずれは他覚的まわしずれに比しかなり小さかった。それに比べ小児期以降に発症したまわし斜視9例では,発症後長期間を経過している1例を除き,自覚的まわしずれは他覚的まわしずれと比較的近い値を示していた。
 以上の結果から,まわしずれに対するsensory adaptationは比較的容易におこり,しかも両眼視に役立つという特徴をもつと考えられた。また,sensory adaptationには,まわし斜視の発症年齢が大きく関与し,乳幼児期以前に発症したまわし斜視の方がそれ以降に発症したまわし斜視に比べてscnsory adaptationはよく発達していると思われた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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