特集 第37回日本臨床眼科学会講演集 (その5)
学会原著
原発慢性閉塞隅角緑内障に対するレーザーイリドトミーの効果
著者:
杉山純一1
田沢博1
岩田和雄1
所属機関:
1新潟大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.627 - P.631
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(1)レーザーイリドトミーにより薬物治療で眼圧がコントロールされなかった原発慢性閉塞隅角緑内障18眼中10眼で眼圧は21mmHg以下にコントロールされた。(2)上記10眼はいずれもPAS ratio 50%未満の症例で,PAS ratio 25%未満の症例7眼,このうちPAS ratio 0%は4眼,PAS ratio 25〜50%未満のもの3眼であった。(3)上記10眼のイリドトミー施行前のC値は0.04〜0.27で,イリドトミー施行後は0.13〜0.30の範囲にあった。(4)イリドトミー施行後,18眼中10眼にC値の改善がみられたが,9眼はPASratio 50%未満の症例であった。(5) PAS ratio 50%未満の15眼においてイリドトミー施行後PAS ratioに対応する期待C値以上の値を示したものは6眼にみられたが,9眼ではその値に達せず,このうち6眼はPAS ratio 0%の症例で,そのC値は0.15〜0.22の範囲であった。(6)原発慢性閉塞隅角緑内障ではPAS形成以前のappositional closureの時期にも既にトラベクルムの障害を生じうることが明らかにされた。これらに対しては,laser trabeculoplastyが有効であった。