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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科38巻6号

1984年06月発行

文献概要

特集 第37回日本臨床眼科学会講演集 (その5) 学術展示

レシチンコレステロール脂肪酸転位酵素欠損症について

著者: 樺澤泉1 赤松明2 武内望3

所属機関: 1愛媛大学眼科 2愛媛県立中央病院内科 3愛媛大学中央検査部

ページ範囲:P.652 - P.653

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 緒言レシチンコレステロール脂肪酸転位酵素(Leci—thin-Cholesterol acyltransferase, LCAT)は,肝臓で合成され血中へ高比重リポ蛋白質(HDL)とともに分泌される。血中ではHDLの表面部分の遊離型コレステロールをレシチンのβ位の脂肪酸でエステル化し,エステル型コレステロールを生成する酵素である(図1)1)。この転位酵素の欠損症は角膜混濁・角膜環・蛋白尿・貧血などの症状が特徴的である。1967年ノルウエーの姉妹について最初に報告されて以来2),いくつかの報告がある3,4)。武内らは発端者を含む3例にこの酵素活性の低下を見出し.家系調査で検討することのできた14例について詳組な血清脂質異常を報告した1)。更にこの症例の発端者がしめした赤血球膜の異常についても興味ある知見がえられている5)。今回は体症の角膜混濁および角膜環を中心に報告する。
 症例1:29歳女性。幼少時より両眼の角膜環に気付いていたが放置していた。22歳で結婚し2児の母である。妊娠時につわりが強く下肢の浮腫・蛋白尿をみたが,正常分娩で特記すべきことはない。検診で軽い貧血を指摘され,精査をうける。角膜環のため当科紹介となる。既往歴では,19歳の時の腎盂腎炎がある。家族歴では弟と父方の叔母に酵素欠損症が見出された(図2と炎1,症例3と7)1)。弟に同様の角膜環を認めるが,叔母には認めない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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