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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科38巻7号

1984年07月発行

文献概要

特集 第37回日本臨床眼科学会講演集 (その6) 学会原著

シェーグレン病の眼科的治療に関する研究—第3報涙液の浸透圧および点眼液の影響

著者: 宮川公博1

所属機関: 1岡山大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.733 - P.736

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 シェーグレン病における乾性角結膜炎の治療を目的として,人工涙液を改良するため浸透圧について検討を行った。被験者の下結膜嚢に直径約6mmの濾紙を挿入して5μlの涙液を採取し,米国Wescor社製浸透圧計Model 5100Cを用いて浸透圧の測定を行った。
 シェーグレン病患者確実例の涙液浸透圧は平均299.5mmol/kgで,正常者の平均292.6mmol/kgに比べ有意に高かった。シェーグレン病患者に0.3% hydroxyethyl celluloseを含有する人工涙液を点眼し,点眼前と点眼5分後の涙液浸透圧を比較した。浸透圧216mmol/kgの人二涙液点眼後,軽度低下したが有意差はなかった。浸透圧110mmol/kgの人工涙液点眼後有意に低下し,正常者よりさらに低くなった。また一部の患者に110mmol/kgの人工涙液を使用したところ,刺激を訴える者があった。
 以上より,シェーグレン病患者治療用人工涙液の最適浸透圧は216mmol/kgより低く110mmol/kgに近い値であり,110 mmol/kg以下の人工涙液は用いるべきではないと考えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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