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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科38巻8号

1984年08月発行

文献概要

臨床報告

糖尿病患者の両眼性一過性乳頭浮腫の1例 (diabetic papillopathy)

著者: 萱沢文男1 森川明2

所属機関: 1京都府立医科大学眼科学教室 2大阪府済生会吹田病院眼科

ページ範囲:P.867 - P.872

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 43歳の女性の糖尿病患者にみられた両眼性一過性乳頭浮腫の臨床経過について報告した。
 両眼底共背景糖尿病性網膜症がみられ,最初左眼乳頭浮腫,次いで9日後に右眼乳頭浮腫がみられた。左眼乳頭浮腫は発症より9日目,右眼乳頭浮腫は22日目より軽快しはじめ後に軽度の乳頭萎縮を残した。検眼鏡的に乳頭は充血腫脹し,螢光眼底造影においても乳頭部血管拡張および色素漏出がみられ,filling defectの所見はなかった。
 全経過中,糖尿病のコントロールは良好で,CT scan瞳孔反応,luminance VEP等神経学的検査は正常で,視力は両眼共0.5前後に低下した。視野検査では両眼共マリオット盲点の拡大と下鼻側視野異常を認めた。
 両眼乳頭浮腫の消退と共に,視力は右0.9,左0.7に改善し,右視野は正常となり,左視野も軽度改善を認めた。
 本症例の臨床像は,Appenらのいうdiabetic papillopathyに相当すると考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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