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臨床報告
糖尿病患者の両眼性一過性乳頭浮腫の1例 (diabetic papillopathy)
著者: 萱沢文男1 森川明2
所属機関: 1京都府立医科大学眼科学教室 2大阪府済生会吹田病院眼科
ページ範囲:P.867 - P.872
文献購入ページに移動両眼底共背景糖尿病性網膜症がみられ,最初左眼乳頭浮腫,次いで9日後に右眼乳頭浮腫がみられた。左眼乳頭浮腫は発症より9日目,右眼乳頭浮腫は22日目より軽快しはじめ後に軽度の乳頭萎縮を残した。検眼鏡的に乳頭は充血腫脹し,螢光眼底造影においても乳頭部血管拡張および色素漏出がみられ,filling defectの所見はなかった。
全経過中,糖尿病のコントロールは良好で,CT scan瞳孔反応,luminance VEP等神経学的検査は正常で,視力は両眼共0.5前後に低下した。視野検査では両眼共マリオット盲点の拡大と下鼻側視野異常を認めた。
両眼乳頭浮腫の消退と共に,視力は右0.9,左0.7に改善し,右視野は正常となり,左視野も軽度改善を認めた。
本症例の臨床像は,Appenらのいうdiabetic papillopathyに相当すると考えられた。
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