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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科38巻9号

1984年09月発行

文献概要

臨床報告

網膜中心静脈閉塞症の発生機序に関する病理組織学的研究

著者: 石橋達朗1 岩崎雅行1 大西克尚1 猪俣孟1 谷口慶晃2

所属機関: 1九州大学医学部眼科学教室 2北九州市立門司病院

ページ範囲:P.959 - P.963

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 網膜中心静脈閉塞症を惹起した41歳男性の眼球を難治性緑内障治療のため摘出し,網膜中心動静脈を電顕的に観察し,下記の結果を得た。
(1)網膜中心静脈のlaminar portionに血栓形成が認められた。
(2)血栓は主に血小板,フィプリンからなり,血小板は内皮細胞剥離部に粘着,凝集していた。また一部には器質化血栓もみられた。
(3)静脈内皮細胞の細胞間隙が離開し,静脈壁への血漿成分のしみ込みがみられた。
(4)動静脈壁の中膜平滑筋細胞には変性,壊死,消失,また基底膜様物質の増加がみれた。
(5)動静脈の共有する外膜には膠原線維の走行の乱れ,消失がみられた。
 以上より,網膜中心静脈閉塞症の閉塞の原因は静脈内腔の血栓形成であり,この血栓形成には静脈壁内皮細胞の剥離が重要な意義を有すると考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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