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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科38巻9号

1984年09月発行

文献概要

臨床報告

Type III Fucosidosisの三姉妹例—眼症状ならびに結膜生検所見

著者: 野呂瀬一美1 瀬川雄三1 谷野洸1 小野謙三2

所属機関: 1信州大学医学部眼科学教室 2信州大学医学部第2病理学教室

ページ範囲:P.983 - P.991

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(1)低身長,gargoyle様顔貌,短頸,全身皮膚の被角血管腫(angiokcratomacorporis diffusum),精神運動発達遅延,神経症状,骨異常を呈し,末梢血白血球および,培養皮膚線維芽細胞中のα—L-fucosidase活性が著明に低下〜消失していたtype III fucosi—dosisの三姉妹例を検査する機会があり,種々の興味ある眼科的所見を得たので報告する。
(2)角膜には,実質深層に微細な点状白色混濁がび漫性に存在し,輪部から約1.5mmの透明帯が認められた。
(3)結膜・網膜血管はビーズ様,一部aneurysma様変化があり,視神経乳頭付近の後極部静脈の口径不同が強く,螢光眼底造影により,拡張血管に組織染が認められ,血管内皮細胞の障害が証明された。
(4)結膜生検を行い,結膜上皮細胞,線維芽細胞,血管内皮細胞,Schwann細胞,macrophageに多量の細胞内沈着物を認めた。
 組織化学的検索にて,多量の細胞内沈着物はfucoseを含む事を確認した。
 また,電顕にて上記細胞内に2種類のinclusion,すなわち微細なレース様構造物を含むclear inclusionと均一なdense inclusionを認めた。各inclusion内には,myeline様層状構造を示すvesicleも存在していた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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