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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科39巻10号

1985年10月発行

文献概要

臨床報告

低出力・短時間照射法によるアルゴン・レーザー虹彩切除術の治療経験

著者: 松嶋三夫1 西本ゆかり1 野口良子1

所属機関: 1大阪市立城北市民病院眼科

ページ範囲:P.1231 - P.1235

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 原発閉塞隅角緑内障41例61眼および続発閉塞隅角緑内障3例3眼に低出力・短時間照射によるアルゴン・レーザー虹彩切開術(以下ALITと略す)を施行し,全例に虹彩切開を得た.
(1) ALITの治療効果については,64眼のうち治癒{薬物不用}は44眼(69%),軽快{薬物で眼圧コントロール可}は17眼(27%)であったが,1眼(1.5%)は眼圧コントロール不能となり濾過手術を,2眼(3%)は膨隆水晶体摘出術を要した.また周辺虹彩前癒着率が25%までの閉塞隅角緑内障に対するALITは著効した.
(2)原発性慢性閉塞隅角緑内障に対して,ALITにより投薬を減じることができる症例も認められたが,周辺虹彩前癒着の量の多い症例では減圧効果は認められなかった.
(3)予防的虹彩切除術としてのALITの効果は著明に認められた.
(4)網膜色素変性症に合併した閉塞隅角緑内障に対してALITは有効であった.
(5) ALIT術中・術後の重篤な合併症は認められなかったが,術中の角膜内皮・実質混濁の発生頻度については,第2段階のレーザー照射出力を従来広く用いられている1000mWより更に低出力(600 mW)にすることで減じることができた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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