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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科39巻12号

1985年12月発行

臨床報告

白内障手術中に駆逐性出血を生じた2症例

著者: 鎌尾憲明1 鈴木敬1 湯口修次2

所属機関: 1名古屋市立大学医学部眼科学教室 2湯口眼科医院

ページ範囲:P.1389 - P.1392

文献概要

 白内障手術中に駆遂性出血を生じた2症例について報告した.症例1では,水晶体全摘出後の強角膜縫合糸を結紮しようとした時に駆逐性出血が起こり,眼球内容除去を行った.症例2では,虹彩切除後の排尿直後に生じ,後強膜切開で一時的に視力0.4まで回復したが,その後,虹彩ルベオーシスが発生し眼球癆となった.駆逐性出血の発生要因は発生基盤になる要因と発生のひき金になる要因の二つに分けた方がわかりやすく,とくに高血圧と緑内障は発生基盤と発生のひき金の両者として作用するので術前に十分コントロールすることが大切である.われわれの症例の発生要因としては,発生基盤として症例1では糖尿病と強度近視が,症例2では高血圧と強度近視があげられ,発生のひき金として症例2では高血圧と排尿にともなう力みが考えられた.駆逐性出血の治療は出血部に後強膜切開を行うが,超音波検査は出血の部位だけでなく,その程度,形がよくわかり,後強膜切開の部位決定や以後の経過観察に有用であった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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