icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科39巻2号

1985年02月発行

文献概要

特集 第38回日本臨床眼科学会講演集 (その1) 学会原著

片眼性前部ぶどう膜炎と一過性複視,瞳孔不同を伴った結節性動脈周囲炎の1例

著者: 古吉直彦1 清水勉1 岡村良一1 杉原一信2

所属機関: 1熊本大学医学部眼科学教室 2熊本大学第一内科学教室

ページ範囲:P.95 - P.99

文献購入ページに移動
(1)今回我々は病理組織学的に確定診断のついた結節性動脈周囲炎(peri-arteritis nodosa,以下PNと略)に,片眼性前部ぶどう膜炎,左外直筋麻痺による複視,左瞳孔散大筋麻痺による瞳孔不同を伴った1症例を経験した.PNに伴う前部ぶどう膜炎は一般に稀といわれ,我々の検索した限りでは今までに5例報告されているのみである.PNに複視,瞳孔不同を合併した例はほとんど報告を見ない.
(2) PNに伴う前部ぶどう膜炎の性状は非肉芽腫性線維素性であり,水晶体表面および瞳孔縁に白色の微細な線維素性沈着物が認められた.
(3)房水の交差免疫電気泳動法による蛋白分析では,前部ぶどう膜炎の認められた左眼では臨床的にぶどう膜炎の認められなかった右眼と比べ各種蛋白の濃度は全体的に高かった.以上の所見からも片眼性ぶどう膜炎であることが確かめられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?