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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科39巻2号

1985年02月発行

文献概要

特集 第38回日本臨床眼科学会講演集 (その1) 学会原著

夕焼状眼底を呈しない原田病の問題点

著者: 浅井香1 板東康晴1 三村康男1 坂東桂子 湯浅武之助2

所属機関: 1徳島大学医学部 2大阪大学医学部

ページ範囲:P.133 - P.137

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 1960年頃からコルチコステロイド療法が本疾患の治療に導入され,初発眼病変が原田病と非常に類似し,夕焼状眼底が出現することなく治癒に到る症例が増加してきている.これらの症例が果たして原田病であるのか他の疾患であるのか初診時に確定診断を下すことは非常に難しい.我々は原田病であって夕焼状眼底をきたさない症例の診断基準として,夕焼状眼底を呈した症例での眼外症状の頻度を参考にして,次のような条件を設定してきた.初発眼病変は両側性の急性びまん性脈絡膜炎と脈絡膜血管からの点状,斑状,クローバ状の螢光色素漏出をきたす定型的眼病変であり,かつ眼外症状として髄液細胞増多とそれ以外の2種以上が出現するという条件である1,2).しかし,発病初期から詳細に経過観察できた78例の本症患者につき各項目について再検してみると,従来の基準はやや厳しすぎる点があったため従来の基準を若干軽減し,髄液細胞増多,難聴,耳鳴,皮膚白斑,脱毛,毛髪白変のうち2種以上が存在するとき原田病とみなす暫定基準を案出した.この基準を満足できた症例は,夕焼状眼底未出現例26例中16例62%であり,初発眼病変の臨床病型では後極部剥離型が過半数をしめた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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