icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科39巻2号

1985年02月発行

文献概要

臨床報告

眼内レンズ挿入眼の予後とその併発症・後房レンズ

著者: 山岸和矢1 小林博1 西村晋1 池田定嗣1 荻野誠周1 永田誠1

所属機関: 1天理よろづ相談所病院眼科

ページ範囲:P.217 - P.222

文献購入ページに移動
 1979年より1983年5月の間に後房レンズを209眼に挿入し,うち199眼について3カ月以上最長4年にわたり術後経過観察を行い得た.手術は55歳以上の片眼老人性白内障を対象とし,今回は挿入眼の視機能予後と併発症について検討した.
(1)矯正視力0.5以上は184眼(92%)であった.(2)併発症で多かったのは光学部瞳孔前偏位(pupillary capture)12眼(6%),後発白内障8眼(4%)であった.(3)術後Pseudomonas cepaciaによる細菌性眼内炎を1例経験した.(4) Pupillary captureとdecentrationは後房レンズのタイプにより発生率に大きな違いがあり,それぞれのタイプの固定や平面安定性の差が推察できた.(5)ぶどう膜炎を3眼(1.5%)に認めたが総て一過性であった.しかし虹彩支持レンズ挿入眼では持続性ぶどう膜炎を6%に認めており,後房レンズ挿入眼においても十分な経過観察が必要である.また長期予後が明らかでない現時点では適応は慎重でなくてはならない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?