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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科39巻3号

1985年03月発行

文献概要

特集 第38回日本臨床眼科学会講演集 (その2) 学会原著

老人性黄斑円孔—その2経過観察結果と尿中estrogen

著者: 湯沢美都子1 松井瑞夫1

所属機関: 1日本大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.311 - P.315

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 初診時に片眼あるいは両眼に老人性特発性黄斑円孔がみとめられた36症例(うら40眼に円孔がみとめられた)と円孔の前段階の病変を疑った9症例(片眼円孔症例の対側眼をふくめると50眼)について,検眼鏡検査,細隙灯顕微鏡検査,螢光眼底造影法によって経過観察を行った.また,円孔を有する21症例について,1日尿中のestrogenを測定した.これらの観察結果から,以下の結論が得られた.
(1)初診時黄斑嚢胞をみとめた7眼中4眼57%と,臍状病巣をみとめた3眼中1眼33%に,経過観察中に円孔の発生を確認できた.このことから,円孔形成の前段階としては黄斑嚢胞に最も注意すべきと結論した.
(2)円孔発生時円孔縁に付着していたopeculumが,その後発生した後部硝子体剥離の際に後硝子体膜に付着した例や,後に円孔縁から分離して門孔底に付着した例が観察されたことから,硝子体牽引は円孔の完成には関与していても,円孔発生の主要因ではないと推論した.
(3) opeculumが分離せずに再付着した例,円孔底に組織増殖が発生した例などが観察され,一度形成された円孔がその後不明瞭になる場合もあることが明らかとなった.
(4)1日尿中estrogenは女性19症例中13例68%が正常範囲にあり,estrogenレベルと円孔発生との間には,密接な関係はみとめられないと考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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