特集 第38回日本臨床眼科学会講演集 (その3)
学会原著
クラミディア-トラコマティス眼感染症の臨床疫学的ならびに病因的研究
著者:
青木功喜
田中宣彦
能戸清
時田広
音無克彦
長谷川一郎
小野弘光
天日一光
沼崎啓1
諸星輝明1
千葉峻三1
中尾亨1
野田明2
所属機関:
1札幌医科大学小児科
2白石中央病院
ページ範囲:P.445 - P.449
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1983年11月からの6カ月間における札幌市のクラミディア眼感染症について検討を加えた.第一にクラミディアが子宮頸部に3/78(3.8%)に分離され,妊婦における新生児結膜炎予防の対策が必要である.第二に新生児結膜炎の8/30(27%)からクラミディアが確認され,新生児結膜炎の重症の型では注意しておく必要がある.第三に成人で急性濾胞性片眼性結膜炎の症例の3/5(60%)にChlamydia trachomatisが証明され,いわゆるsexually transmitted disease(STD)としての存在が推測された.第四にtrachoma Ⅳ期の患者群においては,14/34(41.2%)でenzymelinked immunosorbent assay(ELISA)によってIgG抗体が証明された.
クラミディア眼感染症は上記の事実から,新生児結膜炎,成人のsexually transmitteddiseaseおよび老人における瘢痕性結膜において,重要な役割を占めており,今後病因的検索を背景としてさらに臨床疫学の研究が必要である.