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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科39巻4号

1985年04月発行

文献概要

特集 第38回日本臨床眼科学会講演集 (その3) 学会原著

Harboyan症候群(遺伝性角膜内皮ジストロフィー)の家族例

著者: 熊谷俊一1 渡辺敏明1 白井淳一1 小野寺毅1 田澤豊1 根本聰彦2

所属機関: 1岩手医科大学眼科学教室 2岩手医科大学耳鼻科学教室

ページ範囲:P.455 - P.459

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 内皮性角膜ジストロフィー,進行性の感音性難聴,常染色体劣性遺伝を呈する兄(18歳)と妹(15歳)の家族性発症例を経験したので報告する.本症例は1971年Harboyanらが示したいわゆるHarboyan症候群と同類の症例であり,本邦で初めての報告と思われる.
 両症例の角膜所見としては,実質の著明な浮腫が特徴的であり,正常の約2倍の厚さであった.両症例に対し治療としてそれぞれ片眼に全層角膜移植術を施行し,いったんは透明癒着して視力の改善が得られたが,免疫反応が発現し(角膜移植術後,兄58日目,妹238日目)水疱性角膜症の状態になった.免疫反応による移植角膜片の内皮細胞の傷害が,角膜の透明化を得られなかった原因であろうと推察された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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