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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科39巻4号

1985年04月発行

文献概要

特集 第38回日本臨床眼科学会講演集 (その3) 学会原著

白内障摘出術による眼球光学系の変化

著者: 大野高子1

所属機関: 1旭川医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.483 - P.487

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 合併症を認めなかった67人83眼の白内障手術前後の屈折要素の変化,とくに眼軸長の変化を検討し,以下の結果を得た.
(1)術前眼軸長が23.50mm以下の群(43眼)では,術前眼軸長と術後の眼軸長変化に相関を認めなかった(r=−0.04,p>0.05).術前眼軸長が23.50mmを超える群(40眼)では,術前眼軸長と術後の眼軸長短縮に有意の相関を認めた(r=0.50,p<0.005).
(2)術後の眼軸長変化は白内障のタイプには無関係で,手術法(嚢内法,嚢外法)による差も認めなかった(p>0.05).
(3)術前前房深度,水晶体厚および手術による角膜屈折力の変化は術後の眼軸長変化と相関を示さなかった(p>0.05).
(4)術後1カ月目とそれ以降(平均9カ月目)の眼軸長を49眼において検討した結果,両群間に有意差を認めず,このことから合併症のない白内障術後において眼軸長はほぼ1カ月で安定化するものと考えられた.
(5)以上の結果より,とくに近視眼における人工水晶体度数決定に際しては,水晶体摘出による眼軸長短縮を考慮する必要があると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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