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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科39巻4号

1985年04月発行

文献概要

臨床報告

網膜色素変性症と診断されていた進行例を含むX染色体若年網膜分離症の一家系

著者: 早川むつ子1 細田ゆり1 中島章1 百瀬隆行2

所属機関: 1順天堂大学眼科 2葛南病院眼科

ページ範囲:P.549 - P.553

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 若年網膜分離症の典型的所見を有する3兄弟と,網膜色素変性症と診断されていた母方の祖父について報告した.
 祖父例は高度な視力・視野異常を有し,夜盲の自覚があり,眼底には不正形の色素斑が多数出現していた.さらに,周辺部網膜の樹枝状白色線や網膜から硝子体側へ隆起するu字状の半透明膜様物も認められた.後者の所見から原発性の網膜色素変性症は否定され,またGoldmann-Favre病は遺伝形式が異なる点で否定された.過去の報告例を検討した結果,祖父例は若年網膜分離症のsevere typeの進行例の特徴と一致しており,自験例の家系はX染色体劣性遺伝形式を示す若年網膜分離症であると結論された.X染色体若年網膜分離症の予後は比較的良好とされているが,一方では失明の報告もあり,自験例は本症の予後が老齢期においては必ずしも楽観できるものではない事を示す家系といえる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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