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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科39巻5号

1985年05月発行

文献概要

特集 第38回日本臨床眼科学会講演集 (その4) 学会原著

後部硝子体剥離眼のvitreous fluorophotometry

著者: 萱沢文男1 三宅謙作1 草田英嗣2 吉川隆男2

所属機関: 1湘山会眼科三宅病院 2京都府立医大眼科

ページ範囲:P.593 - P.598

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 経年性後部硝子体剥離が,フルオレセイン-Naの硝子体内へのinwardおよびoutward transportにどのような影響を与えるかを知る目的で,vitreous fluorophotometryを行った.
 方法としてinward transportは,色素静注1時間値で,outward transportは,硝子体螢光濃度が最高値となった時点での血漿内freeフルオレセイン濃度と,硝子体螢光濃度の比(Cs/Cv)を指標として判定した.
(1)色素静注1時間後の後部硝子体および中部硝子体螢光濃度は,後部硝子体剥離眼において有意に高く,特に中部硝子体値で著明であった.螢光濃度の上昇は,血液-網膜関門の透過性亢進によるものではなく,液化硝子体によるフルオレセイン粒子の拡散速度の増大によるものと考えられた.一方,前部硝子体値は有意差はなかった.
(2) Outward transportの指標としてのCs/Cvは,有意差がみられなかった.
 硝子体性状はvitreous fluorophotometryの結果を判定する上で,常に考慮に入れねばならない問題と考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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