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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科39巻5号

1985年05月発行

文献概要

特集 第38回日本臨床眼科学会講演集 (その4) 学会原著

黄斑円孔による網膜剥離に対する硝子体手術の予後とその適応

著者: 山岸和矢1 西村晋1 荻野誠周1 永田誠1

所属機関: 1天理よろづ相淡所病院眼科

ページ範囲:P.613 - P.617

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 黄斑円孔による網膜剥離に対してvitrectomyとgas tamponadeを施行し,術後6カ月以上最長2年にわたり経過観察を行った24眼について検討した.
(1)硝子体手術のみで復位したのは15眼63%で光凝固を追加し復位したのを含めると20眼83%がジアテルミー凝固やbucklingを施行せず復位した.
(2)本術式は残った視機能をより良く残すことができ,絶対暗点や変視症も自覚せず,ジアテルミー凝固を行った症例より術後視力は良かった.
(3)本術式のみで復位した15眼中4眼は経過観察中に細隙灯顕微鏡で黄斑円孔が認められなくなり,比較暗点も縮小した.
(4)本術式による復位率は後強膜ぶどう腫や網脈絡膜萎縮の程度には差はなく,−14D以下で広範剥離の症例では100%であった.復位率の悪い症例は後極部限局性の扁平剥離で−7D以上の症例であった.
(5)本術式はジアテルミー凝固とbuckling法に比べ手術時間も短く,手術眼への侵襲も少なく,黄斑円孔による網膜剥離に第一選択として行って良い術式である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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