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特集 第38回日本臨床眼科学会講演集 (その4) 学会原著
硝子体手術後失明した糖尿病性牽引性網膜剥離眼の検討
著者: 高塚忠宏1 上谷彌子1 秋草正子1 月本伸子1
所属機関: 1虎の門病院眼科
ページ範囲:P.623 - P.626
文献購入ページに移動19眼中,術中に網膜が復位しえなかった症例は4眼(21.1%)であり,その内3眼は,活動期のT型もしくはY型全網膜剥離例であった.
術中に網膜を復位しえた15眼中8眼(53.3%)は網膜剥離の再発から,また,5眼(33.3%)は血管新生緑内障から失明に至っている.しかもこれら13眼中6眼(46.2%)では,術後の硝子体腔中への再出血が網膜剥離もしくは血管新生緑内障発生のきっかけとなっている.
これらの結果より,T型もしくはY型全網膜剥離例では,網膜相互の癒着が強固になる以前に硝子体手術を行うべきであり,術後の頑固な再出血が予測される症例ならびに,術後の硝子体腔中のフィブリン析出等の炎症性変化が再網膜剥離を誘発すると思われる症例では硝子体切除後にシリコンオイルを硝子体腔中に注入し,再出血ならびに炎症性変化の起こる"場"をなくすことが必要であると考える.
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