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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科39巻5号

1985年05月発行

文献概要

特集 第38回日本臨床眼科学会講演集 (その4) 学会原著

緑内障性視神経乳頭の循環動態(続報)—眼圧変動時の検討

著者: 関伶子1 岩田和雄1

所属機関: 1新潟大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.627 - P.632

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 視神経乳頭の上下Bjerrum領線維集積部に,眼圧上昇により,緑内障性軸索障害の原因となるような部位特異的循環障害が発生するか否かを追究する目的で,神経線維層(NFL)に異常がないか,あっても極初期〜初期の軽度のNFL欠損を伴う7例7眼の緑内障について,眼圧上昇時と下降時の乳頭の同時立体螢光写真による三次元的解析を行い,次の結果を得た.
(1)充盈欠損は①眼圧上昇時と下降時で質的,量的に差はなく,②既存のNFL欠損に一致する陥凹底内にのみみられ,③NFL欠損がわずかに存在しても陥凹拡大のない例や,NFL欠損の存在しない例ではみられなかった.
(2)螢光漏出は①網目状血管と集合小静脈にみられ,②眼圧上昇で発生し,下降に伴い減少または消失した.③網目状血管からの漏出は陥凹底内のNFL欠損に一致した充盈欠損部にのみみられ,集合小静脈からの漏出はNFL欠損のない例でもみられた.④漏出の後で,新たにNFL欠損の発生する例はなかった.
 以上の結果から,眼圧が上昇しても,乳頭のBjerrum領線維相当部に部位特異性微小循環障害は発生しないこと,充盈欠損は既存のNFL欠損に伴う異常であることが明かとなった.
 したがって,従来,充盈欠損は軸索障害の原因となる一次的所見とみなされる傾向が強かったが,むしろ二次的変化にすぎないことを強く示唆する結果となった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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