文献詳細
文献概要
臨床報告
糖尿病性網膜症に対するアルゴンとクリプトンレーザー光凝固の対比
著者: 岡野正1 米谷新1 村岡兼光1 岸章治1 沼賀哲郎1
所属機関: 1群馬大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.813 - P.818
文献購入ページに移動同一患者で左右眼別に照射した18名36眼では,アルゴンもクリプトンも,治療効果・矯正視力に関して同等の成績を示した.治療量の光凝固では,重篤な合併症は皆無であった.
同一眼底で異なった部位へ両レーザーを照射した19名25眼のうち,中間透光体に問題のない16眼で,同じ出力ではアルゴンの方がクリプトンよりも強く反応した.凝固斑の混濁を同じ程度にするのに,クリプトンではアルゴンより出力を増す必要があった.白内障や硝子体出血のあった9眼では,上の関係は逆転して,同じ出力でアルゴンの凝固斑はクリプトンに比べ弱い混濁を示した.
赤色クリプトン光凝固では,選択的に網膜外層を凝固でき,中間透光体におけるある程度までの出血や白内障を青緑色アルゴンの場合より有効に透過した.
以上から,進行した糖尿病性網膜症に対する汎網膜光凝固では,赤色クリプトンレーザー光凝固が先ず選択されるべきことが結論される.
掲載誌情報