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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科39巻7号

1985年07月発行

文献概要

特集 第38回日本臨床眼科学会講演集 (その6) 学会原著

前房蓄膿を呈した急性リンパ性白血病の病理組織学的検索

著者: 小関武1 高橋誠1 谷田部道夫2 渡辺新2

所属機関: 1秋田大学眼科 2秋田大学小児科

ページ範囲:P.845 - P.850

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 9歳男子.急性リンパ性白血病発症3年後に右眼のみに前房細胞の出現をみ,まもなく前房蓄膿に発展し,眼圧も上昇した.ステロイドの全身大量投与により一過性の効果が得られ,前眼部を中心とする計1000radの放射線治療では数日間の小康を得るにとどまった.眼圧上昇に伴う眼痛が激しく,結局trabeculectomyを施行し,その際前房蓄膿を採取して電顕的観察を行った.発症5年半後に脳内出血により死亡し,3時間後に患眼のみ摘出され病理組織学的検索が行われた.
 その結果,前房蓄膿は白血病細胞の堆積したものであったが,有糸核分裂から成熟,崩壊にいたるまで白血病における細胞回転の種々相が観察された.摘出標本からは虹彩,毛様体および脈絡膜は著しく肥厚し白血病細胞は充満しており,虹彩からは前房に,毛様体からは後房中に細胞の逸出する所見が得られた.隅角および視神経乳頭の血管周囲にも細胞浸潤は認められた.網膜には直接細胞の浸潤はみられなかったが視細胞を中心に変性が認められた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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