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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科39巻7号

1985年07月発行

特集 第38回日本臨床眼科学会講演集 (その6)

学術展示

強度遠視,網膜血管蛇行,uveal effusion等を伴った小眼球症の兄弟例

著者: 馬嶋昭生1 二村健一1 白井正一郎1 桑山正美1

所属機関: 1名古屋市立大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.902 - P.903

文献概要

 症例 症例1は1946年,症例2は1948年生れの兄弟で,兄は1978年5月に両眼視力障害の増強を訴えて来院した.右限20D,左眼17 Dの遠視,両眼軽度小眼球,乳頭境界の不鮮明,網膜動静脈の怒張蛇行,後極部全体に扁平な網膜剥離を認めた.裂孔はなく,剥離は自然消退してその後再発はない.弟は1981年4月に右眼視野狭窄を主訴として来院したが,1982年6月に右眼中心暗点を自覚し他院で光凝固を受けている.両眼軽度小眼球,18Dの遠視,網膜動静脈の怒張蛇行に加えて,右眼下方に著明なuveal effusionを認めた.入院安静によって自然消退した.
 考按 本症の発生原因と機序について;成書や文献には,他に重篤な眼先天異常を合併せず,胎生裂閉鎖後に眼球の発育が停止したために発生すると記載されているがそれ以上の考案はあまりされていない.馬嶋1)は小眼球の発生学的分類として,1)眼胞形成障害,2)水晶体起因性,3)硝子体起因性,4)胎生裂閉鎖不全,5)眼杯発育障害,6)その他を提唱した.この分類によれば,まず,1)と4)が否定でき,従来の報告例から2)と3)も否定される.したがって5)と6)に原因があることになる.そこで,著者らは次のように考えている.すなわち,胎生裂閉鎖直後からの遺伝要因,環境要因あるいは不明の要因による眼杯からのぶどう膜,さらに強膜の誘導障害が本症発生の原因となる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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