文献詳細
臨床報告
文献概要
82歳の男性で,網膜中心動脈不完全閉塞に中心静脈閉塞症を併発したと考えられ,同時に毛様網膜動脈の循環障害をも認めた症例を報告した.経過とともに,広範な毛細血管閉塞が進行したが,いわゆる出血型中心静脈閉塞症に比し,静脈のうっ血や網膜出血は比較的軽微であった.しかし,著明な循環の改善をみた毛様網膜動脈域では,出血の増加が顕著となった.
本症例の発症過程は,中心動脈の循環不全による血流のうっ滞により,静脈血栓が形成され,この静脈圧の上昇によって毛様網膜動脈の循環障害を来たしたと考えられる.その後,毛様網膜動脈域では,循環改善による血管内圧の上昇が出血をもたらしたが,循環の改善が軽微であった中心動脈域では,出血が比較的少なかったものと推定される.
したがって,出血型中心静脈閉塞症において,動脈循環不全による毛細血管障害が毛細血管閉塞に,循環回復時の血管内圧の上昇が網膜出血に関与している可能性があると考えた.
本症例の発症過程は,中心動脈の循環不全による血流のうっ滞により,静脈血栓が形成され,この静脈圧の上昇によって毛様網膜動脈の循環障害を来たしたと考えられる.その後,毛様網膜動脈域では,循環改善による血管内圧の上昇が出血をもたらしたが,循環の改善が軽微であった中心動脈域では,出血が比較的少なかったものと推定される.
したがって,出血型中心静脈閉塞症において,動脈循環不全による毛細血管障害が毛細血管閉塞に,循環回復時の血管内圧の上昇が網膜出血に関与している可能性があると考えた.
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